前回で、材料取り(木取り)を説明しました。
どんな物を制作する場合も、一番、注意深さを要求する作業は木取りです。
サイズを間違えたり、いい加減に木取りして、いざ組み立てる時になって、
隙間があいたり、傾いたりと、いろいろな不都合が出ることがよくあります。
今回は、木取りした材の加工について説明致しますが、
材の加工前には、必ず、材の寸法を、再度確認しておいて下さい。
材の加工は、初心者の方、中上級者の方によって、作業工程が分かれます。
それぞれのレベルについて、説明します。
■初級者の方
木取りした材に、穴あけが中心の作業です。
工具としては、ドライバードリルを使用します。
材と材を固定する為に、コーススレッドを使いますが、材が硬い場合、コースレッドをいきなり打ち込むと木が割れてしますことがあります。
その為に、コーススレッドを打ち込む所に、前もって下穴を開けておきます。
コーススレッド3.3×35(縦枠用)3.8×55(横枠用)の為の 下穴ですので、下穴は3mmで開けておきます。
また、枠を微調整するために、下穴を皿にもんでおきます。

下穴錐を利用すると、下穴と皿モミが一度に出来るので、大変便利です。
皿の深さは、コーススレッドの頭が3〜5mmくらい沈むくらい取って下さい。
■外枠(縦材)2本
縦材は、横材を挟み込むようにして固定しますので、上下2カ所に下穴を開けます。
穴あけ位置は、20×45材の場合、横材をはさみ込んだ時に、ちょうど横材の中心に穴位置がくるようにします。
具体的には、木口から10下、横から22.5の位置が穴あけ位置です。
また、穴にマーキングする前に、材の使い方を確認します。
外枠(縦材)は、一番、ねじれ・反りが出る部材ですので、反っている側を枠の内側にくるようにして下さい。
外枠を組んだ時に、縦材が凹レンズの形になるようなイメージです。
穴の大きさは、3mm錐で、内側(横材と接する面)に、位置をマーキングしてから慎重に穴を開けて下さい。
穴を外側から開ける場合、垂直に穴を開けれないと、横材にコースレッドを打ち込む位置がずれてしまい、ひどい場合、コーススレッドが横材の板面から飛び出してしまうという失敗の可能性があります。
この後の穴あけ作業も同じ要領でお願いします。
上下2カ所に下穴を開けたあと、内枠(固定枠)を固定する位置に下穴を開けます。
620mmほどの内枠(縦材)を固定するので、3カ所に下穴を開けます。
位置は、3等分としますが、基点は、下面から計算します。
下面とは、外枠(縦材)に、内枠(縦材)を固定するにあたり、組立後に、枠のねじれ・反りを微調整するために、コーススレッドをゆるめたり、締め増ししたりする事が出てきますので、外枠縦材の出来るだけ中心位置で、一カ所コーススレッドを打ち込んでおきたい為、下に基点をとります。
3カ所に下穴を開ける位置ですが、内枠は、外枠(横材)の固定と違い、20側を外枠45側に固定しますので、外枠の外面から、10入った位置になります。
内枠(固定)と内枠(可動)の隙間を5mmは確保出来るようにして下さい。
内枠で20×40材 外枠で20×45材を使うのはそのためです。
外枠(縦材)45面に、内枠20面を2枚重ねると5mmの隙間が出来ることになります。
内枠材に反りがある場合、内枠を裏へ少し逃がして、内枠(固定)と(可動)に必ず、5mm以上の隙間が確保出来るようにして下さい。
■外枠(横材)1本
外枠の横材は、上部側のみの穴あけとなります。
下部材は、可動内枠と接するので穴は必要ありません。
縦材と同じ3mm下穴錐で穴を、2カ所開けます。
位置は、横材の中心を基点に200mmピッチくらいでOKです。
■内枠(縦材)
固定・可動のどちらも、同じ位置に上下2カ所、穴を開けます。
気を付けたい事は、内枠は、外枠と違い、40mmを貫通して材を接合しますので、穴あけは、垂直を十分注意して空けて下さい。
内枠の固定には、コーススレッド3.8×55を使用します。
穴あけ位置は、外枠縦材と同じ位置で、3mmの穴、皿をもみます。
皿は頭が埋没するほどもまなくても、指でなぞった時に引っかからないくらいの深さで結構です。
■内枠(横材)
こちらは、可動内枠の下部横材のみの穴あけです。
上げ下げする為のつまみをつける穴を開けます。
通常、つまみは4mmのネジを使用していますので、下穴錐4mmで、材の中心に取り付け穴を開けておきます。
取り付け穴は、表側から開けますが、後で、裏側から、皿をもんでおきます。
以上で、穴あけ作業が完了です。
■中上級者の方
下穴・取り付け穴は、初心者の方と同じです。
可動部分を支える重要な外枠の溝きりと内枠のアミの逃がしについての説明です。
まず、外枠の溝について説明します。
外枠の溝は、外枠(縦材)に通しで切ります。
溝位置は、表面から、2〜3mm入った所が基点とします。
可動(縦材)の厚みが20mm、その中心に6mm角棒を使うので、
外枠縦材の表面から、3+10=10mm入った位置が、溝切りの中心位置です。
つら位置ではなく、3mm内枠を外枠に落とし込む事を、面落ちと言います。
面落ちさせることによって、作品の仕上がりが、ぐっと良くなります。
位置が決まった所で、けがき線を入れます。
溝幅は、6mm、溝の深さも、6mmです。
トリマー&ルーターを使用されて溝を掘っても良いですし、
テーブルソーを使用して、刃を2、3本、6mmの間に入れれば、溝が出来ます。
電動丸ノコの場合は、自作治具が必要になります。
■自作治具
SPF材20×40材を利用して、2本の上下40幅面に合板を貼り、2つの馬を作り、下の合板にさらに1枚合板を重ね、その間に、材を挟み込むようにします。
すると、合板面と溝を切りたい材の面が同じ高さになります。
後は、直角の出ている合板の余り材を利用して、スケールとして、治具に固定し、電動丸ノコがスケールに沿って動くようにします。
他にもアイデアで、トリマーなどを使用しなくても、溝を切ることが出来ると思いますが、くれぐれも刃先に、手や指が近づかないよう工夫した治具を考えてみて下さい。
次に、内枠の落とし込みについて、説明します。
落とし込みを作る目的としては、アミを内枠に落とし込むことによって、屋外側から網戸を見たときにすっきりと見せる為です。
他に、落とし込みを作り、さらに最終角部を少し掘り下げるとアミが抜けにくくなると言う特徴があります。
ただ、あくまでも、落とし込みを作る事と上げ下げ窓がうまく可動する事とは、別のお話なので、網戸の作品レベルにこだわりたい方のみ加工して下さい。

これがアミ部分の落とし込みです。
約12mm幅、深さ2mmほどの落とし込みです。
落とし込み幅は、10mm以上、深さは2mm必要になります。
この落とし込み部分に、アミを簡単に取り外せるようにアルミ板を差し込みます。
アルミ板の幅が、10mm、板厚が2mmあるため、それ以上の幅と深さが必要になるためです。
この落とし込みは、テーブルソーで加工した物です。
トリマー&ルーターもしくは、自作治具を利用して電動丸鋸でも可能な加工です。
横材は通し、縦材は止めで、落とし込みを作って下さい。
今回、説明させて頂いた工程は、初級者・上級者を問わず、あくまでも穴あけが中心です。
初心者・中上級者の方を別々に説明していますが、どちらでもちゃんと網戸は可動しますので、ご心配なく。
以上で、木取りした材の加工は完了です。
次回は、いよいよ組立(前編)を説明します。
5回にわたってお届けする、木製網戸の作り方・詳細手順です。
■■■ ミニ・目次 ■■■
■手作り木製網戸レシピ その1 準備するもの
■手作り木製網戸レシピ その2 木取りの説明(前編)
■手作り木製網戸レシピ その3 木取りの説明(後編)
■手作り木製網戸レシピ その4 組み立て手順(前編)
■手作り木製網戸レシピ その5 組み立て手順(後編)
以下、ワタクシあすきっとが2005年夏に網戸を作った記録
■手作り木製網戸 その1
■手作り木製網戸 その2
■手作り木製網戸 その3