ピアノ発表会と小さな奇跡

なにがつらいかって、それは自分が司会をしたカップルが別れてしまうことかなぁ。
彼女は2人の子供を抱えて一生懸命生活していたし、僕だって時々差し入れを持っていったこともあります。わが家に呼んで一緒に食事をしたりしたことも。

その後、再婚して、3人目の子供を産んでいる。あとは年賀状のやり取りと、年に数回の電話ぐらい。

彼女、いま幸せなんだろうか。
いつもそう感じていたんだけど。

そして、偶然にもこのピアノ発表会で、その娘さんの演奏を聴くことができたんです。
プログラムにその娘さんの名前を見つけた僕は、キョロキョロと会場を見回したんだけど、家族がどこにいるのかわかりません。でも、その娘さんが演奏を終えて家族のもとへ歩いていったとき、その場所がわかりました。一番前の列です。

うん、幸せそうだ。なによりだ。

2番目の娘さんの演奏は、時間が許さず聴くことができなかったし、彼女にも話しかける時間もなかったんだけど、今日はちょっとハッピーな気分になれました。細君にも話したら、一緒に喜んでくれたし。

ガラにもなく、ちょっといい話でした。
あとで、電話して、びっくりさせてやろう。
僕もあの場所にいたんだぜ！って。

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